国内大手の建設業界の現状と業界全体の問題とは

2018年7月2日

建設業界の現状と業界全体の問題点

国内大手の建設業界というとまずはじめに思い浮かぶのがゼネコンですが、ゼネコンはダムや道路のインフラ整備や土木工事にビルの建設など幅広い工事を請け負う会社で、工事を請け負うまでの段階もそれぞれの発注工事の種類により異なります。

具体的な方法としてオフィスビルなどを作るときは顧客が不動産会社に発注後、主に街の開発などの企画を行うディベロッパーを通じゼネコンへ工事を発注する流れとなり、さらにゼネコンは二次請け三次請けと下請け業者に仕事を張り振る方法です。

またダムや道路などのインフラ整備工事時は政府や地方自治体や企業などがまずは入札をおこないますが、そこでゼネコンが参加をし、工事を受注後は多く工事同様に下請け業者に仕事を割り振る作業をおこないます。

私もゼネコンでの勤務がありますが、主な仕事としては工事を受注後に下請け企業への仕事の割り振りの調整や入札時の対策などが主な仕事であり、実際の工事をおこなうのは下請け企業となりますが、現場監督や施工管理などはゼネコンの社員がおこなうこととなります。

そして日本国内の大手企業にはゼネコン大手5社と呼ばれている売り上げが1兆円を超える企業に準大手と呼ばれるゼネコンに、ゼネコン以外にも主に個人に住宅を供給しているハウスメーカーや工場などを作るプラントエンジニアリングメーカーがあり、その他にも電気通信や道路工事に特化した会社などが建設業界の国内大手企業です。

東京オリンピック決定後は毎年受注金額が増加し、建設業界自体は賑わっている

現在の業界の現状としては国内や海外受注分の元請けの建設工事や受注高は50兆円以上となっており、東京オリンピック決定後は毎年受注金額が増加しており、都内に住んでいる人間としても東京オリンピック決定後のインフラ整備や建物の建設が増えたことを肌で感じており、建設業界自体は賑わっていると実感できます。

このように近年では景気の回復と東京オリンピックの決定により活況を呈している様子がうかがえる建設業界ですが、市場規模は残念ながらピーク時から半減しています。

種類別にみても建設大手50社における累計でも1990年代のバブル期をピークに2000年までの失われた10年といわれる時期は毎年受注額が減り、2001年から2008年までのいざなみ景気に関しても受注金額が増えることもなく、20009年から2012年までのリーマンショックによる不景気時にはさらに受注額が減り、その後景気の回復後に徐々に受注額が増えているもののピーク時には及んでいない状況です。

住宅に関しても同様で、国内の住宅着工件数自体もピーク時から半減している

その他の住宅に関しても同様で、国内の住宅着工件数自体もピーク時から半減しており、住宅着工件数は分譲マンションや賃貸マンションに個別住宅など全ての住宅を含んだ件数となりますが、これらに携わる企業ゼネコンやハウスメーカーにも大きな影響を受けています。

住宅着工件数は1986年から1990年のバブル期の170万戸をピーク時に1991年から2008年までは件数は減少したものの100万戸を割ることはありませんでしたが、2009年からのリーマンショック後に初めて100万戸を割りその後回復はしているものの住宅着工件数がピーク時の半減近い状態が継続しています。

住宅に関してはバブル期から現在まで私自身もこの業界に携わっていますが、ピーク時は材料の調達がとても難しく工事を受注後に工事の開始が遅れるということも何度も経験しました。

また職人の確保に関しても現在も人手不足により職人の確保が難しい状況となっていますが、当時の状況は人手不足の現在とは内容が異なっており、職人の数が多いにも関わらず確保することができずに現在とは労働環境も異なっていたこともあり夜中まで職人が作業を行うという状況をよく目にしていました。

そしてインフラ整備などの公共事業に関して同様にピーク時から半減しており、この状況は公共事業国家予算からもはっきりと見て取ることができ、1998年度のバブル崩壊後の景気対策もある15兆円の予算額をピーク時に半減しており、政治的な背景や景気の動向により左右されてはいるものの現在の予算額も半減に近い数字です。

全体的な市場規模は縮小し、今後もこのような傾向は避けられない業界の大きな問題

このように建設業界は一部では顕著な回復状況にあるとはいうものの全体的な市場規模の縮小しており、今後もこのような傾向は避けられない業界の大きな問題となっています。

業界の大きな問題の一つとして建設業界自体が国内景気の影響も最も受けやすいと言われており、実際に不景気により政府の税収が減ることで公共事業が減り、地方では特に大きな問題となっています。

また日本国内の人口減少による影響も大きく、市場の縮小以外にも労働者不足や熟練労働者による技術継承不足などその他にも様々な問題があり、首都圏に関しては東京オリンピックの影響や人口減少もゆるやかなこともあり今後数年間は多少は安泰であろうと思われますが、地方に関しては現在も大きな問題として自治体が対策するなどの対応もしており、業界全体として早急に取り組むべき問題の一つです。

最終更新日 2025年6月15日 by kitairu